試し読み版:
朝倉 慎一
抄録
一、はじめに
二、原文の字の正しさ
三、先行研究の概観
(一)燃火の歌
(二)向南山の歌
四、三諸の歌の字義の訓読
五、燃火の歌の試訓と意訳の提案
●燃火の歌のまとめ
六、燃火の歌の考察
七、向南山の歌の試訓と意訳の提案
●向南山の歌のまとめ
八、向南山の歌の考察
九、まとめ
(一)燃火の歌
(二)向南山の歌
(三)全体的に
十、終わりに
参考文献
奥付
持統天皇の難訓歌、燃火の歌(巻二・一六〇)と、向南山の歌
(巻二・一六一)について、従来、意訳が意味不明であった。
本稿は、明確で詳細な意訳を提案する。
二首は、いずれも天皇陵を舞台とし、題詞「崩り」に沿う。
燃火の歌は、八角墳に眠る天武天皇の成仏を願う歌である。
向南山の歌は、天武天皇を星に、草壁皇子を月に喩えて、
二人の成仏を二つの陵の雲に喩えた別れの歌である。
持統天皇の難訓歌、仮称で、燃(もゆる)火(ひ)の歌(巻二・一六〇)と、
向(むき)南(な)山(やま)の歌(巻二・一六一)は、訓に諸説があり[武田][NK]、
今も定訓は無く、詳細な意訳はまだ無い。
本稿は、試訓と、「明確で詳細」な意訳を提案する。
本稿は、恣意的な「誤字の仮定」や「義訓」をしない。しかし
一方で、語句の仮定が多いので、仮定をする場合には明言する。
仮定には、根拠を示すことによって妥当性を与え、できるだけ
「主観を排除」し、「客観性」を確保する。
二つの歌は、どちらも、『天皇陵』を舞台にして、
題詞『崩(かむあが)り』に沿った『成仏(じょうぶつ)の文脈』になっている。
燃(もゆる)火(ひ)の歌は、八角(はっかく)墳(ふん)に眠る天武天皇の成仏を願った歌であり、
向(むき)南(な)山(やま)の歌は、天武天皇を『星』に、草壁皇子を『月』に喩(たと)え、
二人の成仏を二つの陵(みささぎ)の『雲』に喩えた「別れの歌」であること
が判明する。
[中西] 中西進『万葉集 全訳注原文付』講談社 一九七八年
[武田] 武田祐吉『増訂 萬葉集全註釋』角川書店 一九五六年
[西] 『西本願寺本万葉集(普及版)』主婦の友社 一九九三年
[R] 上田萬年 『類聚古集』 臨川書店 一九七四年
[金] 藤原定信筆『金沢本万葉集』 二玄社 二〇〇四年
[紀] 井上光貞『日本書紀』 中央公論社 一九八七年
巻第三十 朱鳥元年九月~持統三年四月(天武、草壁)
[虎尾] 虎尾達哉『苦悩の覇者 天武天皇』吉川弘文館 二〇二四年
[天] 『「天皇陵」総覧』 新人物往来社 一九九四年
[形] 宮内庁書陵部陵墓課『陵墓地形図集成』学生社 二〇一四年
[伊] 伊丹末(まつ)雄(お)『万葉集難訓考』国書刊行会 一九七〇年
[間] 間宮厚司『万葉難訓歌の研究』法政大学出版局 二〇〇一年
[菊] 菊沢季(すえ)生(お)『菊沢季生国語学論集』第三巻
『万葉集難訓歌考(上)』教育出版センター 一九八九年
[徐] 徐一平『上代日本語の否定辞に関する研究』 一九八九年
https://hdl.handle.net/20.500.14094/D1000824
[束] 河上邦彦『束明神古墳の研究』
奈良県立橿原考古学研究所 一九九九年
[E] 中西進『万葉集事典』講談社 一九八五年
[字] 『漢字源』学習研究社
[古] 『全訳古語辞典 第三版』 旺文社
(あさくら しんいち・天香具山をこよなく愛する者)
論文名:持統天皇の燃火と向南山の歌の試訓と意訳の提案
著者 :朝倉 慎一
:2026年 5月 1日(試し読み版)
底本から抜粋、誤記訂正と若干の加筆修正。
内容は、実質的に、底本と ほぼ同等。
書名 :万葉集難訓歌を明快に解く!
著者 :朝倉慎一
発行所:銀河書籍、発売元:星雲社
発行日:2025年10月21日 初版第1刷
© Shin'ichi ASAKURA 2025 Printed in Japan
ISBN:978-4-434-36742-7 , C0192
NCID:BD13589490(CiNii Books)