試し読み版:
朝倉 慎一
抄録
一、はじめに
二、大和三山の性別
三、通例の読み下し文の問題点
四、先行研究の概観
五、大和三山の長歌の解釈
●長歌の読み下し文と意訳
●長歌の要点
六、第一反歌の解釈
●第一反歌の読み下し文と意訳
●第一反歌の要点
七、第二反歌の解釈
●第二反歌の意訳
●第二反歌の読み下し文
●第二反歌の要点
八、三首の関係、萬葉集全体、三山の性別
九、考察
十、まとめ
十一、終わりに
参考文献
奥付
中大兄の大和三山の歌(巻一・十三~十五)に
ついて、別解釈を提案する。
「原文を尊重」し、『高山』を『かぐやま』ではなく
『たかやま』と読むことによって、
「長歌は、陽に妻を、陰に天皇を争う歌」、
「第一反歌は称制の歌、第二反歌は即位の歌」
だと導かれる。三首は
「天智天皇の『皇位争覇』の物語」の関係にあり、
左注「反歌に似ず」が否定され、問題が解決される。
これを根拠として、
「香具山は女、畝傍山と耳成山は男」と結論づける。
長年の三山の性別論争に終止符を打つことが可能な、
「全てに『整合性』が有る」解決案を提示する。
萬葉集の中大兄(なかのおほえ)の大和三山の歌(巻一・十三~十五)について、
本稿は、三山の性別を歌以外の状況証拠から考察した後に、
通例の問題点を指摘し、それを解決する為に、別解釈を提案する。
提案解釈は「原文を尊重」し、『高山』を、『かぐやま』ではなく、
素直に『たかやま』と読む。そこから「全て」が導かれる。
「陽(よう)」は字義や表(おもて)の意味とし、「陰(いん)」は比喩や裏(うら)の意味とする。
「『高(たか)山(やま)』は、陰に『天香具山を伴った天皇』」であり、
「三山の長歌は、陽に妻を、陰に天皇を争う歌」であると、
「論理的に導出」する。
更に、今まで意味不明だった反歌に、明確な意味が通る解釈、
「第一反歌は称制の歌、第二反歌は即位の歌」が得られ、
「天智天皇の『皇位(こうい)争覇(そうは)』の物語」という明確な関係が判明する。
すなわち、『反歌に似ず』(反歌として似つかわしくない)の
左注が否定され、明確に解決される。
これらの強力な根拠をもって、三山の性別は、
「香具山は女、畝傍山は男、耳成山も男」と結論する。
歴史と符合する明確な歌の解釈、長歌と反歌の明確な関係、
三山の性別、および萬葉集全体での『高(たか)山(やま)』の読み下しの統一の、
「全てに『整合性』が有る結論」を得る。
[中西] 中西進『万葉集 全訳注原文付』講談社 一九七八年
[武田] 武田祐吉『増訂 萬葉集全註釋』角川書店 一九五六年
[元] 藤原行成筆『元暦校本万葉集』 二玄社 一九九四年
[西] 『西本願寺本万葉集(普及版)』主婦の友社 一九九三年
[R] 上田萬年 『類聚古集』 臨川書店 一九七四年
[紀] 井上光貞『日本書紀』 中央公論社 一九八七年
巻第二十七 天智天皇 斉明七年七月(斉明崩御、称制)
天智二年八月条(白村江の戦い)
天智三年~天智六年十一月(各所の築城)
天智七年一月条(即位)、五月条(大皇弟)
巻第二十八 天武天皇 天智元年 (東宮)
[上野] 上野誠『大和三山の古代』 講談社 二〇〇八年
[大浜] 大浜厳比古『新萬葉考』 大地 一九七九年
[一七一] 伊藤博(はく)「豊旗雲に入日さし」
『萬葉』第百七十一号 萬葉学会 一九九九年 所収
[一八〇] 山口佳紀「「わたつみの豊旗雲に」の歌の解釈」
『萬葉』第百八十号 萬葉学会 二〇〇二年 所収
[古] 『全訳古語辞典 第三版』 旺文社
(あさくら しんいち・天香具山をこよなく愛する者)
論文名:中大兄の大和三山の歌の別解釈の提案
著者 :朝倉 慎一
:2026年 5月 1日(試し読み版)
底本から抜粋、誤記訂正と若干の加筆修正。
内容は、実質的に、底本と ほぼ同等。
書名 :万葉集難訓歌を明快に解く!
著者 :朝倉慎一
発行所:銀河書籍、発売元:星雲社
発行日:2025年10月21日 初版第1刷
© Shin'ichi ASAKURA 2025 Printed in Japan
ISBN:978-4-434-36742-7 , C0192
NCID:BD13589490(CiNii Books)